「八重垣の能」と八重垣神社

#10備中神楽ナイト Column
備中神楽ナイトと八雲琴

岡山マツダさんのご協力のもと、開催しています「備中神楽ナイト」第10回を先日終えました。だんだんと会を重ねて私たち運営側もだいぶ慣れてきたように思いますが、油断は禁物。笑
上手くいっているときほど、気を引き締めて、ですね!リピートの方も毎回多くいらして有難いです。これからも来てもらったみなさんが楽しめるよう、また日本の伝統や文化の良さを肌で感じてもらえるよう、企画・運営をしていきますので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。

さて、今回の演目は「八重垣の能」でした。

素戔嗚命

八岐大蛇(やまたのおろち)に娘を呑まれて、いよいよ最後の娘の番だ…と嘆いている両親(あしなづち・てなづち)に素戔嗚(すさのお)は大蛇退治を頼まれます。素戔嗚は娘との結婚を条件に、大蛇退治に向かいます。これが素戔嗚と櫛稲田姫(クシイナダヒメ)の契り(結婚)です。最初この備中神楽「八重垣の能」を見た時に、なぜ八重垣というのだろう?と不思議に思っていました。その答えが島根県佐草町にある八重垣神社にありました。八重垣神社の主祭神は素戔嗚と櫛稲田姫。姫の両親の社もこの神社にあります。
八重垣神社の境内奥地には佐久佐女の森(さくさめのもり)があります。素盞嗚が八岐大蛇を退治になる際、稲田姫を難から救った場所で、森の大杉の周囲に「八重垣」を造り、櫛稲田姫をお隠しになりました。「八重垣」とは、櫛稲田姫をお守りした八つの垣根で、大垣、中垣、万垣、西垣、万定垣、北垣、袖垣、秘弥垣と呼ばれ、今も一部地名などに残っています。この森を、かの文豪・小泉八雲は「神秘の森」と称したそうです。
毎年5月3日に身隠神事(みかくししんじ)が執り行なわれる「夫婦杉」、縁結び占いの「鏡の池」も、この森の中にあります。
私が初めてこの神社を訪れた際が偶然にもこの身隠神事を執り行っている最中で、とても幻想的で、古事記の世界観を味わえた素晴らしい時間でした。

二弦琴 八雲琴のみなさんと

古事記は少なくとも1,300年の歴史がありますが、私たちが語り受け継いできた物語の片鱗を実際感じられる場所に立つ前と後では、同じ備中神楽でも感じることの深さが違うものです。

こうして時を超えて私たちは先人の築いてきたものの上に立っていることに感謝せずにはおれません。

最後に、備中神楽「八重垣の能」には登場人物が謡う和歌がたくさん出てきますが、その中で一つをご紹介させて頂きます。
櫛稲田姫が謡う

「日は暮るる 佐草野の月 はや入りて
恋路の闇に 我身迷わす」
この佐草が八重垣神社のあたりを指していると思います。八重垣神社は佐草町ですから。

最初この事実を知った時に、なぜか衝撃が走ったのです。ちょうど、アマノウズメの舞を習った後に、クシイナダヒメの舞を習い始めたばかりのころだったからです。この時の心境をおもうと涙が出てきたり。本当に人は天からの恵みを通す筒のように感じます。

次回の「備中神楽ナイト」もしくは別企画もお楽しみに♪
みなさんにお会いできる日を楽しみにしております。

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